両想い【完】
「岡野~、走り込め!!」
葵は体を起こしベンチ近くに座り大声でチームメイトに指示を出す。
葵の強い強い情熱が、チームメイトの底力を引き出していく。
だが、司令塔を失った葵のチームは、後ひとおしというところで、ゴールが決められない。
そして…ついに…
『ピッ、ピッ、ピピィ~!!』
試合終了のホイッスルが鳴り響いた…
***
レントゲンを撮る葵を待合室で待つ。
叔父さんと叔母さんも来て美愛は一安心。
看護師が診察室のドアを開けて葵を支えて出てきた。
『ご両親にお話し』と入れ替わりになり、葵はぐるぐるの包帯の脚を投げ出して椅子に座る。
「美愛…今日はありがとな…
最後まではプレー出来なかったけど、
悔いはない。
今から言うことは俺の本気…
聞いててな?」
「うん…」
「俺…美愛が
美愛のことが、女として…
好きだ…」
葵は真剣な目を美愛に向けて、そらすことなく告白した。
「葵、く、ん…
その、想いは…ありがとう…
でも、私には大好きな人がいる。
その人しか、想えないの
だから、葵君の…気持ちには答えられません」
従兄弟…が告白…驚いたが…葵は大切な家族。
真剣に見つめ返しながら美愛も誠実になるよう答えていく。