両想い【完】
すれ違う
葵はかなりの怪我をしたと、あの秋の日に聞いてから、心配になり1度学校帰りに話をした。
すると、リハビリをすればまた、サッカーを高校でも続けていいと医者から許可が出たんだと、かなり嬉しそうに話してくれて、俺と美愛ほんとに安心した。
おれ自身が怪我でサッカーを諦めたから、そんな思いはなるべくならしてほしくなかったんだ。
***
今日は12月10日月曜。
かなり寒くなり登校は手袋した手を繋いで、コートのポケットに。
でも、今月に入り美愛が元気がない。
急にそうなったのではなくて、気がついたらいつのまにか、ショボンとする美愛をよく見るようになった。
話を聞いても理由もないし、ましてや、自分ではそんなつもりはないって言う。
どうしたんだ?美愛。
何でも話をしようって決めたはずだろう…。
***
「ねぇ、祐君、ちょっと…」
2時間目が終わると山野が呼び掛けてきた。
珍しく一人だ。
「なに?つまんない話ならお断り~」
「ふっ!あたしにそんな態度、いいのね?」
不敵な笑いを浮かべながら俺に近づく。
「ふざけんのは、ここまでね?
ねぇ、…あんたたち…ケンカでもしたの?」