両想い【完】
「真琴ちゃん、お昼は暁人君と?」
「うん、なんか、祐君とか何人か
クラスの人もいるみたいだけど…
あれ?美愛、聞いてないの?
あたしはてっきり…」
「ん…なぁんにも…知らない…
だから私は…帰るね…」
溢れそうになる涙を堪えて、呼び止めてくれる真琴ちゃんに手を振ると、私は足早に校舎を出るために歩き出した。
下駄箱までいくと、2組の下駄箱の前に数人かたまっていて、その中には祐君、暁人君と数名の男女がいて、一人の女の子と楽しそうに話す祐君が見えた。
私は初めて、きっと生まれて初めて、人の視線を避けて俯いたまま、大切な人の横を通りすぎた。
祐君からの声は私にはなく、代わりに「高城君好きっ♪」と言う女の子の声…
次々に溢れる涙を止めることは出来ず、私は駅まで走り続けた。
***
泣き続けた顔で電車に乗るのは嫌だったが、ぐずぐずしていて、駅までさっきの人達が来たらと思うと、いつの間にか自然と乗り込んでぼ~っと窓から景色を見ていた。
しばらくして我に帰ると、西中央は過ぎていて、祐君のところだった。
折り返すため慌てて降りて反対ホームまで行く。
ホームで待っていると携帯が電話の着信を知らせていた。
***美愛視点end***