両想い【完】
はっきりした気持ち
俺と美愛は、『送るよ』『1人で大丈夫』を数回繰り返し…美愛が折れた。
「うち、どこだっけ?」
ドキドキを美愛に気づかれないように、平静を装いながら、話す。
「んとね、西中央駅なの、祐君は?」
「俺は山野と同中だぜ?ってことは?…」
「「東公園駅!」」
キレイにハモった、そんな些細なことさえも、幸せを感じてしまう…そんな時間だった。
***
学校の最寄り駅までは徒歩で7、8分、『西中央駅』は3つ目、『東公園駅』は5つ目の、同じ方向だった。
これからも、理由つけて送りやすいな…と、俺は心でピースしながら思っていた。
学校の最寄り駅『花宮駅』は、この辺りでは大きめで、ショッピングモールが駅と繋がり放課後は結構人が多い。
***
この時、駅近くのカフェから由紀が俺達を見ていたのが分かるのは明日…。
***
人通りが増えてくると、美愛が下を向いて歩きだした。
「美愛ちゃん、あぶねぇよ?下向いてっと…」
「…ん、うん…そ、だね」
小さな声で返事をするが、顔は上げない。