両想い【完】
「ねぇ、聡君、加菜はね、
私よりもっとお料理が上手で
私は今でも教わるの」
「へぇ~美愛ちゃんよりかぁ、
興味あるなぁ、今度なんか食べさせてよ」
ニコリとしながら、篠原に話しかける聡。
あぁ…ダメだ…まだ、チャラ聡太郎のままだ。
聡は俺とたぶん同じで、今までマジ恋はしてないはず。
この半年も、きっと体優先の彼女が2、3人いたようだし。
でも、俺と美愛をみて、さらに暁人と山野をみて、なんだかいろいろ考えるとこがあったらしい。
10月に入った位から、彼女って存在を聞かなくなった。
でも、今の聡はまだ、カッコつけのチャラいままで、篠原との距離を測っていて様子をみてる。
たぶん、顔は好みな方だと思う。
篠原は明るめのブラウンの髪を上手く巻いていて、顔は二重で小さめ、化粧はキツくなく上手なんだと思う、背は美愛より高い。
「加菜、自分で話したくて
今日は来たんでしょ?
いつもの可愛くてがんばり屋の加菜
で聡君に聞きたかったこと…
聞いたら?」
そう言いながらそっと篠原の右手を優しく握った。
「美愛…ありがとう」
小さな声でお礼を言うと、体を少しだけ聡の方に向ける。