両想い【完】
「あらぁ、楽しそうねぇ」
後ろを向いていたお母さんが振り向き、話しかけてきた。
胸元に頭をつけてた俺は慌てて離れる…
変態とか言われたら…出入り禁止とかヤダし!
「今夜は花宮神社に行くのよね?」
あれ?なんか、スルーされて普通に会話してる…あれは…許される行為なのか?
まぁ、いいや…
***
夜9時過ぎになり美愛は着物を着るためにお母さんと和室に入った。
俺は、さっき帰宅したお父さんとTVを観てる。
「お待たせしました♪」
袷の着物をきた可愛らしい美愛がこちらを見ながら微笑んでる。
あぁ~今夜…我慢できるかなぁと心で嘆きながら『めちゃ可愛い』と素直に誉める。
真っ赤になり俯く美愛と隣に立つ俺を見比べて、お父さんは複雑な顔をしてるが、お母さんはかなりの笑顔だ。
こうやって信頼して夜中に外出させてくれるんだ、有り難く思わなきゃな、なんて、少しは大人な考えできて、俺スゲェ~。
玄関で二人に見送られながら玄関をあけると、途端に冷たい風が吹いてくる。
『いってきます』と声を揃えて…初詣に出掛けた。