両想い【完】


「あらぁ、楽しそうねぇ」


後ろを向いていたお母さんが振り向き、話しかけてきた。


胸元に頭をつけてた俺は慌てて離れる…


変態とか言われたら…出入り禁止とかヤダし!

「今夜は花宮神社に行くのよね?」


あれ?なんか、スルーされて普通に会話してる…あれは…許される行為なのか?


まぁ、いいや…


***


夜9時過ぎになり美愛は着物を着るためにお母さんと和室に入った。


俺は、さっき帰宅したお父さんとTVを観てる。


「お待たせしました♪」


袷の着物をきた可愛らしい美愛がこちらを見ながら微笑んでる。


あぁ~今夜…我慢できるかなぁと心で嘆きながら『めちゃ可愛い』と素直に誉める。


真っ赤になり俯く美愛と隣に立つ俺を見比べて、お父さんは複雑な顔をしてるが、お母さんはかなりの笑顔だ。


こうやって信頼して夜中に外出させてくれるんだ、有り難く思わなきゃな、なんて、少しは大人な考えできて、俺スゲェ~。


玄関で二人に見送られながら玄関をあけると、途端に冷たい風が吹いてくる。


『いってきます』と声を揃えて…初詣に出掛けた。






< 313 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop