両想い【完】
雪は降らなかったけど、寒かった外。
美愛の家に入りホッとする。
熱いコーヒーを飲んでから風呂を借りて和室に入る。
今日はX'masのときみたいに二人きりではないから、さすがに美愛の部屋で…は無理だよなぁ。
あの着物、脱がせたかった…なんて考えながら眠りについた。
美愛は風呂から上がり、俺に声をかけたらしいが返事がなかったから自室に戻ったって、起きてから聞いた。
***
「明けましておめでとうございます」
9時過ぎにリビングに行くとお節の準備をしている美愛と、美愛のお母さんがいて、新年の挨拶をする。
「あら、高城くん
明けましておめでとう、今年も宜しくねぇ」
明るく返される。
「もうすぐお父さんとお兄ちゃんも
来るから、そしたら食事ね」
美愛に言われ、頷く。
自宅でなく美愛ん家での正月…不思議な気分。
ふっと思い付き、廊下にでてから、携帯を出して操作する。
「あっ、俺…
あぁ~、明けましておめでとう…」
そう、俺は自宅のお袋に電話したんだ。
なんだか、そうするのが自然で、するべきだって感じたから。
「はい、おめでとう…
祐…ありがとう…」
電話越しのお袋の声がやけに優しく聞こえた。