両想い【完】
柔らかい笑顔で言ってから、『んん~』って考えてる顔も可愛かった。
「う~ん…あっ!じゃあ、さ。
勉強教えてよ。俺さ、数学はOKだけど、
物理、ヤバいんだよねぇ~…」
そう俺が提案すると、パァッと顔を明るくさせて嬉しそうに俺を見上げる。
……ヤバイ……抱きしめたい……
あぁ…俺……美愛が好き、なんだ……
そんな気持ちを誤魔化すように上を見たり髪をかきあげたりしながら、少しはなれた。
「うんっ!わかった!!放課後勉強会しよっ!!
真琴ちゃんと聡君もいたら、
彼女さんも気分悪くないよね?
あっ!一緒にって言う?」
「い、いや、ほら…
Lって物理ないんじゃなかったか?
人数多すぎても、
俺がじっくり教えて貰えないし、なっ?」
「!あぁ、そうだねぇ、
図書室や自習室で大きな声ではダメだしね、
うん、わかった♪」
これで、一緒にとか、悪夢になるとこだった…焦る…。
美愛を玄関に入るまで見送り、自宅へ帰る。
***
はっきりさせなきゃ駄目だ…。
今まで何となくでも俺はちゃんと相手を好きだと思いながら付き合ってきた。
由紀のことも、嫌いじゃ、ない。でも、好き、でもなかったんだ…。