両想い【完】


「そっか、偉いなぁ、お前…
俺は真琴のサインをきっと
見逃したんだ…
……………あいつ、
元カレに『お前の体、気持ちよくない』
って…言われたらしい…
で、いろいろさせられたっぽい…
美愛ちゃんは、細かいことは
言ってくれなくて、てか、言えないって。
だから、真琴は行為自体が
イヤなんじゃないかって思える……」


頭を抱え込み泣きそうな声で話す暁人。


明るい、人のことを大切にする山野が、そんな心の傷を持っていたなんて、全く想像がつかなかった…


「そいつ…最低なヤツだな…」


そんな、ありきたりのことしか言えず、二人で沈黙してしまった。


「美愛ちゃんは、真琴から1年とき
いろいろ話をきいてて、辛くて
仕方なかったって。
で、春休み…そいつのキツい言葉で
振られたらしい…
その言葉は俺は頭がおかしくなると
いけないからって、聞けなかった…
怖くて…」


「俺は…山野の苦しみ想像出来ないけど、
傷付いた山野を救えるのは、お前だろ?
過去は忘れさせるくらいの思いで
たっぷり愛してやったらいいじゃん…
それしかないんじゃん…?
お前の、心があるから抱きたいんだっての、
伝えるしかないだろ…」




< 336 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop