両想い【完】
暁人がバスルームから出るまで、部屋の中で今日二人で買った、お揃いのストラップを、携帯につけていた。
ストラップはカンガルーを型どったもので、シンプルで小ぶりの物だった。
その場で、裏面に文字を入れてくれるので、二人だけのお揃いだと、美愛は喜んでた。
互いのイニシャルと今日の日付を入れて使うことにした。
だから今俺がつけたのは『M.20**.2.9』だ。
暁人がバスルームから出てきた。
「お待たせぇ」
「出たら話し、聞かせろよ」
それから直ぐに俺はシャワーを浴びて暁人が荷物を整理していたベッドに戻った。
「たかだか、4日でほとんど制服でも
結構荷物はかさばるな…
土産がいんねぇ(笑)」
「トランクが少し小さいとか?」
他愛ない話をして二人で荷物を片付け、ようやくホッとできたのは、10時近かった。
「でぇ~?
山野とどうなったわけ?」
「最初は気まずくてさぁ…
でも、怯んじゃダメだと思って
手を繋いで買い物に出掛けた。」
「で、あんまり、人のいない
カフェの隅の席で、話を始めたんだ。」
そう話し出した暁人の顔は表情が読み取れなかった。
「まず、俺が勝手に美愛ちゃんから
聞いた話を、俺が知ってることを
話したんだ。」