両想い【完】
「俺は…今はってか、あと五年は
学生のつもりだし、春から
同居するのと、子供ができるのは
また、別ってか…現実的に考えて
きびしい…と思ってる
ただ、今回、もしかしたらって
考えたとき、イヤじゃなかった
それは信じてほしい…」
「うん…正直にありがとう
私も今は親になるって
考えられない。
でも、祐君となら、もしも
そんな時でも乗り越えられるって
信じてる。
まぁ、じゃあ…ピルは飲み始めるね」
***
美愛の貧血検査は、入院まではいかないが、薬の服用が必要らしく、気を付けろと父さんにもきつく言われたらしい。
妊娠は山野の勘違いだったけど、俺達はそうなるかもしれないってこと、軽く考えてたってか、どこか他人事だった。
でも、いつ、そうなってもおかしくなかったんだ。
美愛が、ピルを飲むことでかなりのリスクは減るし、俺の事情からいっても嬉しい。
また一つ、未来へ繋がる現実がはっきりとした。
***
2月末、学年末テストが行われ、俺は健闘した。
進路希望調査表にも、堂々とK大学と書き、担任たちも『頑張ってみろ』と言ってくれるようになった。
最初のうちは『無謀』と言われてたのにな。
***
3月になり、卒業式の日を迎えた。
2年は在校生として、参列、美愛は先輩数名に告られたらしいが、仕方ない…。