両想い【完】
あぁっ!あの時かぁ…
見られてたのか…
悔しそうに唇を噛み締め、話す由紀。
そんなに笑顔だったのか…なんて、こんな時なのに分かりやすい自分に苦笑する。
「美愛、ちゃんって…振ってばっかりで、
そのくせ、みんなにいい顔しちゃって…
彼氏取られたとかいう子いたりするんだよ?
そんな子がいいの?
告白…したって、振られちゃうよっ、」
怒りが強くなったのか、泣くのはとまったようで、強気にトゲのあることを言ってくる。
今の俺では友達止まりだって、自分が一番わかってる。
「昨日のは、困ってたのを助けて、
方向が同じで一緒だっただけ、それだけだ。
とにかく、今までは由紀に向いてた
つもりだったけど、自分でも…
どうしようもないくらい
好きになっちまったから…
今日で終わりってして欲しいんだ…頼むよ」
しゃがんだまま、また、頭を下げる。
戸惑いが無言の由紀から伝わってきた。
「祐君…あたし…辛いよ…
どうしても、なんだね?
なら…せめて最後にちゃんと、
デート…してよ。
こんな、イヤな思い出で祐君と、
終わりとか、惨めだよっ!!」
キツイ目で睨みながら言われてしまったが、由紀のやりきれない思いも分かる気がした。