両想い【完】
あらかじめ、聞こうと思ってた先日の課題を美愛に差し出し、教えて貰い始めた。
聡は物理ではなく、数学をやり、由紀は俺をチラチラ見ながらも、英語をやり始めた。
互いに少し前のめりになりながら、俺の課題のプリントを間に小声で話す。
「あっ!あぁそうか…」
「ねっ?この定理分かると
なんてことないでしょう、さすが、祐君!」
やっと理解できて、回答を導きだした。
思わず見つめ合い、ニコッとして静かにハイタッチ…
「おっ!祐、わかったん?よかったなあ。
それ絶対テスト出るぜ」
「だよな?まじ、よかったぁ、
美愛ちゃんサンキュー」
「どういたしまして!って言うか、
私のこれがお礼だし、ね?」
少しだけ、首を傾けて聞いてくる。
あまりの可愛さに、聡ですら照れた顔をしていて、俺はまともに目を合わせられなかった。
「っ!ねぇっ!!」
急に由紀が少し大きめの声で呼び掛けながら俺の腕を引っ張った。
回りのテーブルの生徒から痛い視線をうけ、無言で頭を下げながら由紀を見た。
「由紀…ここ図書室だ、静かに話せよ。
あと、急に引っ張るな、ビックリするだろ…」
低めの小声で注意すると、由紀はにらみ返してきた。