両想い【完】
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「おい、祐!時間ヤバいぞ、
おまえ担任やっちゃんだろ?行くぞっ!」
中学からの友人、栗田聡太郎〈くりたそうたろう〉が俺の肩を叩きながら叫ぶ。
聡も理系でクラスはS2、隣だ。
こいつは頭がよくて、勉強だけでなく、回転がいいってか、状況判断とかスゲェ。
だから、いつもこうやって助けられてる。
見た目はなかなかイケメンで優しくてモテてる。
そうだなぁ、俳優の三○翔平ってわかるかなぁ、あんな感じ。
性格はチャラい?かも(笑)
***
由紀に手を振りながらSクラスのある校舎の階段を上がる。
階段を2階まで上がり右に行くと教室、左はラウンジみたいにスペースがある。
何気なく視線を左に向けたとき、隅の方で女子が二人話し込んでるのが見えた。
(なんだ?はやくしね~とチャイムなるのに…)なんて思いながら教室に行きかけた時に大きな涙声が聞こえてきた。
「真琴ちゃん!!その人私がやっつけてあげる!!」
……
思わずまた二人を見てしまった。
だって『やっつけてあげる』ってなんだぁ?小学生のガキじゃあるまいし…
「フッ…フハハッハッ!!」
いきなり、一人が笑いだした。