両想い【完】
そんな様子をみた美愛が由紀のほうに手を伸ばしてきた。
「これっ!!美味しいんだよ♪」
そして、さっきの由紀より大きな声で、笑顔でキャンディを差し出している…。
近くにいた司書が、『飲食、大声禁止!これ以上騒ぐなら退室させますよ。』と美愛を見ながら言ってきた。
周りの奴らは『バカだなぁ』って視線を投げてきた後、すでに興味がないのか、こちらを見なくなった。
「清水せんせ、ごめんなさいっ!」
美愛は両手を合わせて謝りながらも、反省してシュンとしてるようには見えなかった。
司書が離れていくと、持っていたキャンディを無理やり気味に由紀の手にもたせた。
「あははっ、ごめんね?
私のせいで注意されてしまったぁ~。
由紀ちゃん、それ、ほんとに
美味しいから帰りにでも、
食べてみてね♪」
黙っている由紀に小声でそんな風に言って、また、勉強し始めた。
由紀はしばらく、キャンディと美愛を見比べたり、俺を見たりした後、それをポケットにしまい、勉強道具を片付け始めた。
「由紀?終わったのか?帰る?」
そっと聞いてみると、頷いてから『後でメールする、先に帰る』と言い残し図書室をあとにした。