両想い【完】


美愛がキャンディを渡すために手を伸ばしたときに、司書の位置をみていたのを知ってた。


由紀が注目されて、イヤな思いをし続けないように、自分が叱られた…。


とっさに、そんなことするなんて驚いた。


二人で感心しながら美愛を待っていた。


***


ほんの2、3分だろうか、美愛が駆け足で戻ってきた。


「あ~、疲れたぁ(笑)ドジだよねぇ、
英語の明日のテストプリント忘れてたの」


そう言いながら、紙をヒラヒラさせて靴を履き替えていた。


「祐君、聡君、お待たせしました。
ありがとう」


笑顔で、そしてペコッと頭を下げた。


***


駅まで3人で話をしながら歩いた。


聡が俺に『そういや、『お礼』ってなんだ?』と聞いてきた。


「先週さ、
美愛ちゃんを送ったことがあって…」


細かなことは美愛も、思い出したりで、イヤだろうと簡単に話した。


「へぇ~、そっかあ。
それで勉強会とか、
祐のほうが断然得してねぇ?」


聡も、先週のレベル別クラスで美愛が居なかったことは分かってるし、空気を読める奴だ、軽ぅ~く言ってくる。


次回は、連休明けの月曜に勉強会ってことにした。


美愛の降りる駅が近づいた。


「祐君、今日は電車降りなくていいよ?」


「えっ?なんで?こないだより時間遅いよ?」

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