両想い【完】
「駅でね、待ち合わせしてるの、
だから大丈夫!」
「…誰と?」
「ん?あぁ、お兄ちゃんと」
「へぇぇ~兄貴居るんだ、何で待ち合わせ?」
焦ったぁ…兄、と聞いてかなりホッとした。
「兄ね、駅前のカフェが好きでよく居るの。
だから、学校出るときに連絡してみたら、
今日も居るって分かったから、
一緒に帰ろうってことになったの」
「りょ~かい、りょ~かい、
…祐、よかったな?」
最後のは俺にだけ聞こえるように、ニヤニヤしながら言ってきた。
さっきといい、ほんと、腹立つやつだっ!
***
「由紀さ…今日のキャンディので、
美愛ちゃんが女子の間に流れてる
イヤな噂みたいな子じゃなくて、
優しいいい子だって、
少しはわかったんじゃね?」
俺達の地元に向かう電車のなか、聡は、口調は明るいがふざけてない目で俺を見ていた。
「んっ、今は由紀だけでも、
これから他の女子に分かってほしいけどな…」
「んで?その由紀ちゃんとは、
うまく別れられそ?」
「どうかな…5日の、
俺の誕生日にデートして
いい思い出で終わらせたいんだってさぁ」
「楽しかったらますます、
思いきれなさそ…矛盾してんな」
「まぁ、な。ともかく、
5日が上手くいけば…、
俺は美愛ちゃんに好きになって
もらえるように、全力で行く!!」
「まっ、お手並み拝見しとくわ…」
初勉強会は、美愛の思いやりがわかり、ますます惹かれ終了した。