両想い【完】


***


次は由紀の好きらしい、洋服の店に来た。


当たり前だが女ばかりの店内で、見るものもなく、由紀が似合うか聞いてきても、真剣に答えることもなく、距離をとっていた。


そんな俺の態度がいけなかったのか?


***


スカートを買ったらしい由紀とその店を出るとまた、腕に絡み付いてきた。


仕方なくそのまま歩いてると、由紀が何かを見つけたのか一瞬立ち止まり、それからあっちに行こうと引っ張った。


??よくわからない俺はされるがままでついていく。


「美愛ちゃんっ!!」


由紀が声をかけて、駆け寄ろうとした。


俺が、今は会いたくねぇっ!って由紀をどうにかしようと腕に力を込めたのと、明るい屈託のない声が返事をしたのは、ほぼ同時だった。


「わぁ~!由紀ちゃんに祐君っ!」


「あたしたちねぇ、
今日は祐君の誕生日デートなんだぁ♪」


聞かれてもいないことを、ペラペラと話し出す由紀。


「そっかぁ!今日が当日なの?」


なんの邪心もない清んだ目で聞いてくる美愛。


「そうなんだよぉ、こどもの日生まれとか、
男の子って感じだよねぇ~」


腕を絡めたまま話す由紀と、笑顔の美愛。




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