両想い【完】
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次は由紀の好きらしい、洋服の店に来た。
当たり前だが女ばかりの店内で、見るものもなく、由紀が似合うか聞いてきても、真剣に答えることもなく、距離をとっていた。
そんな俺の態度がいけなかったのか?
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スカートを買ったらしい由紀とその店を出るとまた、腕に絡み付いてきた。
仕方なくそのまま歩いてると、由紀が何かを見つけたのか一瞬立ち止まり、それからあっちに行こうと引っ張った。
??よくわからない俺はされるがままでついていく。
「美愛ちゃんっ!!」
由紀が声をかけて、駆け寄ろうとした。
俺が、今は会いたくねぇっ!って由紀をどうにかしようと腕に力を込めたのと、明るい屈託のない声が返事をしたのは、ほぼ同時だった。
「わぁ~!由紀ちゃんに祐君っ!」
「あたしたちねぇ、
今日は祐君の誕生日デートなんだぁ♪」
聞かれてもいないことを、ペラペラと話し出す由紀。
「そっかぁ!今日が当日なの?」
なんの邪心もない清んだ目で聞いてくる美愛。
「そうなんだよぉ、こどもの日生まれとか、
男の子って感じだよねぇ~」
腕を絡めたまま話す由紀と、笑顔の美愛。