両想い【完】
何、意味わかんねぇこと言うなよ、今日生まれた女の子が可哀想だろうが…
もう、この状況が嫌で何もかもがムカつく。
由紀は…この展開を楽しんでる…俺の気持ちを知ってるからわざと、美愛に話しかけたんだ。
朝から低いテンションがますます落ちていき、次第に惨めな気分になってきた。
この場だけをみれば、俺らは仲良しのカップルだ…腕をガッツリ絡め、連休で混んでる日に誕生日ってデートしてるんだから…。
最悪だ…。
もし、今日で由紀が別れてくれても、俺を恋愛対象としてみてもらうまでに、さらに時間がかかるんだろうな…。
俺は不機嫌さと苛立ちを隠しもせずに、なんとか腕をほどき、話し出した二人から離れた。
***
「じゃあねぇ~♪」
「また学校でね♪」
ようやく話が尽きたのか、10分ほど経ったろうか由紀が俺のほうに戻ってきた。
「祐君ごめんねっ!お待たせ。
なんか…美愛ちゃん、
明るくて楽しくて、いい子…なんだね…」
「この間は祐君と気まずくならなかったぁ?
とか心配してくれて私の洋服やメイクとか、
祐君は何にも言ってくれなかったけど…さ(笑)
細かいあたしのこだわりとか、
気づいて誉めてくれたりして…
優しくてあたし自身をみてくれてる…
なんか嬉しかったな…」
ついさっきまで、意地悪くしていたくせに、話して美愛の思いやりとかが分かったみたいだ。