両想い【完】


「すんごい、素敵な子だった…
悔しいけど…。
見た目だけじゃなくって。
…この間の図書室でかばうってか、
してくれたのとかも…嬉しかったし…」


俺は、黙って由紀の言葉を聞いていた。


あぁ、由紀にはちゃんと伝わったよと、心で美愛に話しかけながら…。


「だから…ってのも、変なんだけど、ね。
これは、このプレゼントは…
純粋におめでとうの気持ちであげたいの。
受け取って欲しいんだけどダメかな?」


そう言われて、俺はようやく手を出して『ありがとう』と言った。


「…ゆうくん…」


ゆったりとまた、由紀が話し出す。


「ん?」


「あたし…まだ祐君が好き…
でもあたしには、祐君の幸せな笑顔は
引き出せないんだなぁって …
だ、だから!別れてあげるっゥ!
あたっしっン…から…ふっ、振って…
あげっるっ…ゥゥッ…」


店の中で泣かれてしまい、恥ずかしかった。


だが言ってくれた言葉は、大事な、俺にとっては嬉しいものだった。


だから…


「由紀、ありがとう……」


それだけを伝えた。


しばらく涙が収まるまで、無言で座っていた。


「それ…開けてみて?
今日、最初に寄ったお店で…買ったんだよ…」


赤い目をした由紀が、寂しげな笑顔で話しかけてくる。


そう言われて俺は包みを開けた。


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