両想い【完】
でも、手は目を押さえているようで、顔は見えない。
もう一人はまだ後ろ姿だ。
「やっ、やっつけるって…フフッ…うん…」
「えぇ~何で笑うの?
私ほんとに怒ってるんだよ?
真琴ちゃんのことこんなに悲しませて
許せないよ!!」
「うん…わかってるよ、ありがと…美愛」
手をどけて顔を上げた女子は俺や聡と同中の山野真琴〈やまのまこと〉だった。
こいつはサッパリした性格で話しやすく、165㎝で痩せていて、肩までの茶髪、顔は…可愛い…方だと思う。
珍しく泣き顔をしていたが今は涙は見えない。
それより俺は山野ではなく、背中を向けてる美愛〈みあ〉と呼ばれた小柄な女子が気になりじ~っと見てしまっていた。
***
「おまえ、なにしてんの?」
階段を後から上がってきたダチが俺に声をかけ、ハッと我に返った。
「おぅ、何でもねえよ、すぐ行く」
と返事しながらまた見てしまう、と、山野達はこちらに向かって歩きだしていて、山野の隣にいる女子と一瞬目があった。
ドキドキッ!!!!!!
かなりの速さで鼓動が響く…