両想い【完】


5時少し前に俺達の座るオープンスペースのテーブルに、影が差し、振り返ると格好いい男が二人立っていた。


「お兄ちゃんと流星君!!また来たのぉ~!」


俺達より少し先に気づいていたらしい美愛が、立ち上がりながら話しかける。


どっちが兄貴か…直ぐに分かった。


美愛と口元がよく似ていて、いい顔の兄妹なんだと、思わず感心してしまった。


背は俺より明らかに高くスタイルがいい。


髪は短めで眼鏡をかけていて、涼しげで爽やかな顔にそれがよく似合っている。


「よぉ!美愛。テスト中じゃなかったのか?
いいのか、サボって。」


「昨日で終わったの。みんなは勉強仲間なの。
お疲れ様会してたんだよ」


美愛にそう言われて3人で軽く頭を下げる。


「そっかぁ、お疲れぇ。俺、
こいつの兄貴で光輝(こうき)っていいます、
お子さまで甘えたな妹だけど宜しくな♪」


光輝さんは美愛の頭から肩へとするっと手を回し、抱き寄せるようにしながら話す。


「お兄ちゃん!それ言い過ぎだよっ!」


笑顔で怒ったふりをしていて、なんとも可愛い…。


「んで、こいつが俺の悪友の
松井流星(まついりゅうせい)、
無口だけどいいやつね」

< 54 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop