両想い【完】


聡もニヤニヤしながら俺を見て、美愛をチラリと見て、『男かな!?』なんて楽しんでる。


まったく言葉が出てこなくて参ってると、美愛が戻ってきた。


***


「ごめんね?そろそろ帰るかなぁ?」


「ん?なんか用事出来た?」


『男』なんて聡がいうから気になってしまった。


「これからスーパーでお買い物なの。
明後日、お弁当に焼き豚を入れる
約束しちゃって。
今夜中に下ごしらえしないといけなくて」


何っ?弁当を作る?


誰に作るんだ…日曜日だよな…


「あ~!葵(あおい)君?」

山野は知った風に聞いている。


「うんっ!明後日は頑張るからって。
久しぶりだし私も楽しみでぇ♪」


「何々ぃ~?教えてよ、葵君って?」


ナイス!!聡!!と心の中で感謝し顔は平静を装った…。


「あぁ、そうだよね?ごめんなさい、
解らない話を進めて。
えっとね、葵君は私の2歳下の従兄弟で
サッカー部なの。
明後日に練習試合があるから
お弁当を持って応援にいくの♪
でね、焼き豚を今の電話で
リクエストされたの」


とても嬉しそうに話す美愛…、見たことのない従兄弟に嫉妬していた…。


***


店から出ても弁当話が続いた。


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