両想い【完】
サッカー観戦
俺の願いが届いたのか…日曜は暑い位の陽射しのある快晴。
聡と二人でグラウンドを見回すと、2面あるサッカーグラウンドの片側に、屋根付き観戦ベンチが、簡易だがある。
それぞれの面には選手用のベンチもある。
観戦ベンチに近い選手の集団の中に、美愛が居た。
そのチームは赤のユニフォームで白のワンピースを着ている美愛が、さらに際立っていた。
山野の姿は観戦ベンチにあった。
その側には大きなバッグが2つ置いてある。
俺と聡はベンチではなく、美愛の方へと近づいた。
***
「美愛ちゃぁん、おっはよ~!」
聡がチャラ~い感じで声をかける。
一斉に美愛の周りの選手達と美愛がこちらを見た。
「!あぁ~おはよう、来てくれてありがと。」
美愛の直ぐ横に立つ、明るい茶髪に切れ長の目で格好いい爽やかなサッカー少年が、俺達を睨み付けていた。
直感で、あれが『葵』、そして美愛を従兄弟としてではなく…男として好きだ…とわかった。
あえて、その視線を無視して話しかけた。
「美愛ちゃん、晴れてよかったなっ!
従兄弟はどの子?」
「葵君は、この子ですっ!」
やはり…隣の爽やか君の腕をつかみながら、言ってきた。