両想い【完】
「おっはよ~。俺、栗田聡太郎、よろしくぅ、
東中の伝説のストライカーですっ!」
「葵君だっけ、俺は高城祐、
今日は試合楽しみにしてるよ。
俺、東中ではMFやってたんだ。」
「どうも。中田葵です、俺もMFっす。
あっ、あの!高城さんて、
もしかして、2年前…
1試合5アシストしたことないすっか?」
2年も前のことだが、その試合のことは、昨日のことのように思い出すことができる。
中3の晩秋に県大会まで上がり、ベスト8をかけた試合で、そのアシストからの5得点で勝利した。
ベスト4には残念ながらなれず、俺らのサッカーはそこで終わったんだ…。
「あぁ、まぁ。俺以外にも
そんなやつらいると思うけど、確かに
俺も2年前そんなんしたな。」
「!!やっぱそうっすか!俺そんとき、
あの試合見てたんっすよ!
スゲェかっけぇって…
うちのチームはその前に負けてて、
お前ら見とけって顧問に言われて…
おぉ~なんか嬉しいや、
試合前にテンション上がるぅ~!!
美愛、ありがとな!」
さっきまで思いきり睨んできてたのに、今は俺のことをキラキラとした、尊敬って顔して見られると、こちらもうっかり感激しちまう。