両想い【完】
が………『美愛』と呼び捨てし、肩を抱いていやがる…気に入らない。
美愛も今までそれが当たり前だったのか、嫌がったり恥ずかしがったりもない。
「そうかぁ、凄いなぁ~繋がってるねぇ。
なら、会場で2年前に
私とも会ってたかもなんだねぇ…」
***
「西中~!!アップ始めるぞぉ~集合っ!!」
監督かキャプテンか誰かの声がかかり、赤いユニフォームがピッチへ入っていく。
「じゃあ、美愛。
俺のことちゃんと見ててよ?」
向き合いながら頭に片手を置き片手はさりげなく腰辺りに添えて覗き込むようにしている。
!まるで恋人同士のように……
「ん、見てるよ、だから頑張ってね♪
勝ってランチ、しようね!!」
美愛は少し見上げながら笑顔で応援を伝えてる。
「じゃ、な…」
去り際、葵が身を屈め、美愛の頭に唇で触れた…
***
ほんの一瞬のことでよく理解できないくらいだった…。
「おい、祐…大丈夫か?」
聡も軽い雰囲気はなく、真剣な顔で俺を見て心配げにしてる。
「…ん…あ、あぁ…」
それだけ言うと観戦ベンチに一人で移動し、ドサリと山野の隣に座って頭を抱え込んだ。
「あれ…いつものことよ…」
小さいが俺に聞こえるくらいの声で山野が言う。