両想い【完】
「あそ…なんだか…俺…すげえダメージ…」
「美愛は仲のよい従兄弟との
付き合いの一部としてよ、
葵君は好きな女として…だけどね
上手く美愛の優しさの隙に
入り込んでるって状況かなぁ」
「他人の接触には気が回るんだけどねぇ…
家族には甘いのかなぁ、頑張んなね?」
「そういや…兄貴の光輝さんも
スキンシップは多かったもんなぁ、
俺…あれでもモヤモヤしたのに…
ライバルが従兄弟ってかぁ…はぁ~…」
抱え込んでいた頭を今度は空に向け、両腕を支えに後ろへ体を傾けた。
美愛と聡もベンチに戻り、エンド側から聡、山野、俺、美愛と座った。
「葵巧そうだな、結構目立ってる。
応援も多いし」
葵を注目してみると、彼を中心にできてるチームらしく、パス回しもシュートまでの組み立ても彼が声を出して動かしてる。
そして、葵が動くたびに『キャーっ!!あおいくぅん!!かっこいぃ~!!』の声…。
練習試合だってのにすげえな…。
しばらくして、試合が始まった。
西中は葵の的確な指示のもと、キャプテンのキーパーのナイスセーブと共にどんどん調子を上げ、気がつけば前半終了。
4-0
かなりの一方的な試合だった。