両想い【完】
相手は7と4、二人居る…
これが…美愛とチームが顔を引き締めていた理由だ。
西中は3点取られた後、防戦になりながらも葵やキャプテンの指示のもと、踏ん張っていた。
俺達4人もこちらサイドの応援者も、知らないうちにみんな声を出さずに見守っていた。
応援の声で葵の声を消してしまわないように…
残り時間7、8分となり相手もこのままではいけないと、少し焦りを見せ始めた。
西中のメンバーも疲れが出始める時間だが、きっと今までにもこのチームに悔しい思いをさせられたのだろう。
瞳の輝きが強い。
『勝ち』にこだわる、チーム力を信じてとことん踏ん張る、やってやる…そう、瞳が言っている…
葵は、攻めの気持ちを無くしてはいなかった。
焦りから、ほんの少し出来た穴をつき、前線へ自ら走り込む!
それをチーム全員が押し上げ、だめ押しの点をもぎ取ろうとディフェンスをかわす…
「いけぇ~!!」「そこだぁ~!!」「キャー!!」
今まで固唾を飲んで見守っていた者達から、いろんな声援が大音量で西中にかけられる。
「あ~お~いぃ~!!いけぇぇ~~!!」
美愛も信じられないほどの、声で叫ぶ。
ほんの一瞬、葵の視線が美愛をとらえた、気がした…が直ぐにゴールへと、足を振り上げた!!
ザシュッ!!!!ピピィ~ィッ!!!!
ウワァァ~!!~!!~!!
西中渾身の追加点。