両想い【完】
弁当
***
「あぁ~…のど、痛い…」
試合が終わり葵達のところに向かう。
美愛は、情けない顔で『キャンディなかったかな』なんてバッグを探してる。
「美愛ちゃん、すげぇ声…出るのな(笑)」
「なっ!あっ…ひどいっ!!」
顔を見ると言葉とは違い笑顔で、俺はこんなささいな普通のやりとりがものすごく楽しかった。
「みんなぁ~やったねっ!!勝ったね!!」
西中が座り込んでいる芝生までいくと、待ってましたとばかりに美愛を取り囲む。
それを散らして引っ張り、自分のいた所に一緒に座り込む葵。
俺らはそれにつられて美愛の直ぐ側に座った。
俺らが交じってもなおもしばらく、勝利の興奮が覚めずに、試合の話ばかりしていた。
「そろそろ食べよ!!、
ランチタイム終わっちゃうよ?
さぁ!みなさんよければ召し上がれ♪」
美愛がデカイバッグから出してくるいくつもの弁当を、みんなで頂く。
西中のやつらはもちろん、家からの弁当も食べてる、が、美愛の焼き豚や玉子焼き、ポテトサラダなんかを次々に食っていく…。
現役中坊選手の胃袋、半端ねぇなぁ…。
俺達も、無くならないうちにおにぎりやおかずを遠慮なく食べた。