両想い【完】
「あぁ。もろに。家族って枠では、
小さいころはまぁ、ありかもってことも、
今は二人カレカノいたりしても
ふつ~な歳じゃん?
あれ、例えばさっきの口拭くとかさ、
考えてみてよ。
自分の彼氏が従兄弟ってんで
拭いてやってるのを彼女の自分が見たら
どう思うか?」
しばらく目を閉じて、きっといつもの美愛のように真剣に理解し考えてくれてる。
「…いや、だ…」
目を開けると今にも泣きそうな、苦しそうな顔でそう言った。
「だろ?仲が良くても、
特別なスキンシップってカレカノの
特権ってか、さ。
親子ならありだとは思うよ、
でもそれ以外は…
付き合ってるやついたら、
正直キチィなぁ…
美愛ちゃん、俺にはちゃんと
気がついて言ってくれてたじゃん、
由紀が気にするから肩抱くのはダメ、とか。
そうゆうことだよ?」
そう言って俯く美愛を覗き込むと、静かにポロポロと泣いていた。
「!美愛ちゃんっ!?
おれ、別に責めてる訳じゃ…」
「ん、わかって…るよ…
あり、がと…祐君。大丈夫…」
「…美愛ちゃん…」
少しの間、俺は美愛の背中をゆっくりと擦りながら黙っていた。
「ふぅ~っ…」
一つ息を深くついてから、顔を上げてこちらを見てきた。