両想い【完】
ライバル
2時になり、西中がまた試合を始めた。
美愛は真剣に応援しだした。
俺はぼんやりしながら葵を見つめていた。
***
「仲良さげに、なに話してた?」
小声で、いつのまにか山野とチェンジしたらしく、聡が話しかけてきた。
「うるせ~よ。」
「んなこと、言うなよぉ。
泣かせたく、せ、に!」
ニヤッてしながら、こそこそと耳元で言ってくる。
『泣かせた』それを言われると正直いって、辛い。
「あ、あれはっ…仕方なかったんだよ…」
「まあ、いじめてたわけじゃないしぃ?
こっちも、勝手に聞いちゃってたけど、
ありゃ、しょうがねぇっちゃぁ、
しょうがねぇよな。
あれは言っといたほうが、
美愛ちゃんのためでもあるしな。
まっ!半分以上は自分のためだろ~
けど、ねっ!!」
核心をつかれ何も言えなかったが、聡が、俺のしたことを肯定してくれたことで、やっとホッとした。
***
「んで?あちらさんはどうすんの?」
「それが問題…」
「かなぁ~り、好きっぽいもんなぁ~」