両想い【完】
葵は真っ正面から俺を見た。
最初のような睨む目でもなく、サッカーの先輩と分かったときの輝いた目でもなく、ただ一人の女の子に恋をして想いを伝えると決めた男としての、強い意思のある目をしていた。
「フンっ、まっ、そんだけだ、
時間取らせて悪かったな。
あと一つも勝てよ?」
「言われなくても勝ちますよ。
彼女のこと…きちんと言ってくれて
嬉しかったっす…ありがとうございます…
じゃあっ!!」
少し照れた顔を見せた後、チームの方へとかけていく葵を見送り、ゆっくりと聡の所に戻る。
***
「悪りぃ、聡。バイト、行こうぜ」
「おぅ、今日って9時までだっけかぁ?」
何も聞かずにいてくれる聡に感謝し、公営公園を後にした。
***
ちなみに…俺と聡は高1から水曜と金曜、日曜の週3日の6時から9時か10時までカラオケボックスでバイトしている。
自分達の地元の駅前なので、高校のダチはあまり来ない。
逆に、小・中の同学のやつらは先輩、後輩含めて結構会ってしまうが。
まぁ、居心地のいいバイトだから、体力使うけど続いてる。
そういや、美愛って誰とか歌うんだろ?