両想い【完】


***


更衣室に続くドアを見ると…


学校から貸し出されるチアの衣裳に身を包み、女子がゾロゾロと体育館の中央に集まって来た。


『ウォ~!』とか『可愛い~!』とか、なんとも言えないざわめきが体育館を包み込んだ。


俺の目は直ぐに美愛を見つけた。


体育祭は1・2組赤色3・4、組黄色5・6 組青色となっていて、クラス別でも加点されるが、
1年から3年までの色別縦割りでトータル優勝をかけて争う。


チアの衣裳は、その色別になっている。


だから美愛と山野は黄色が入ったものだ。


……かわいい、メチャメチャかわいい…


ヤバイ……あのミニスカも…ポニーテールも…


ふと、隣の暁人を見ると、赤い顔して多分視線は山野、だ。


見学者をぐるりと見てみた。


視線はいろいろに向かっているが、ひいきめではなく、美愛を見てるやつがかなりいた。


俺はなんとも説明し難い気持ちになった。


単純に嫉妬、ヤキモチもある。


だがそんだけ可愛い美愛と、男子の中では親しいであろう自分のことが、嬉しくて。


これ以上女子の反感買わなきゃいいなぁとか、ライバル増えるの嫌だなぁとか、いくつもの気持ちや考えが、同時に沸き上がった。



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