両想い【完】
緊張していた空気が緩みざわめきも強くなった。
美愛を見るとふっと、目が合って微笑まれた。
ドキリとした。
うっすらと汗をかいている顔で、熱いのだろう少し頬が赤い。
俺は焦りを隠しながら軽く手をあげて返事を返した。
手を振り返してくれた美愛と山野は、更衣室へと入っていき『フゥ~…』と思わず息を大きくついた。
「ハハハッ!お前でもそんな顔すんだな、
驚いた。」
暁人が笑いながら言う。
「…?そんなって?」
少しムッとしながらも気になって思わず聞いてしまった。
「ん?なんつうのかな、柔らかくてすんげぇ、
大切って感じ?いってる俺も恥ずいけど、
まぁ、そんなんだ。」
少し照れながら言われ俺はカァ~っと熱くなるのを感じた。
「んなっ!?何言って……
お前だってかなりデレて見てたぜ?」
恥ずかしさを誤魔化すため暁人をからかいながら、体育館を出た。
「まっ!お互い様ってか(笑)」
しばらく暁人と体育館前で話をしていると、見学者の後から、着替え終わったチアの子達も出てきた。
「おい暁人、お前って山野とはしゃべるの?」
「…いや、こっちがほぼ一方的…去年さ、文化祭実行委員で一緒だったんだけど。」