両想い【完】
「へぇ、そうなんだあ、
私は井上美愛ですっ、どうぞよろしく!」
美愛が人懐こい笑顔で挨拶する。
「あぁ~疲れたぁ、祐君、なんか奢って!!」
「えぇ~なんでだよ。
なんの義理も貸しもないよなぁ」
「えぇ~冷たいぃ~
可愛いあたし達のチア見たんでしょ?
冷たい飲み物くらいいいじゃんかぁ」
ふてくされた態度をとりながら、言ってくる。
「こらぁ、真琴ちゃん、ダメだよぉ、
ほら、さっき話したアイス屋
行くんでしょう?」
「…な、ならさっ、俺が奢ってやるよ、
山野さんに。」
「へ?…なん、で、かな?」
いきなりの暁人の発言に、さすがの山野も驚いたようで、目を見開いている。
だが、そこはさすがというか、美愛がフォローしてきた。
「じゃあ!四人で行こう~!
美味しいんだよぉ、ねっ?真琴ちゃん、
二人はどんなフレーバーが好き?」
山野を引っ張りながらすでに歩き出す美愛。
と、思ったらクルっと振り向いた。
「!祐君!ごめんなさい!
都合聞かないで一緒って…ダメ、かな?」
首を斜めにしながら聞いてくる。
「今日はバイトもないし、
ラストまで見させて貰ったし、付き合うよ♪」
嬉しさを押さえながら返事する。