両想い【完】
「ねぇ、美愛、桃予想通り美味し?」
聞かれて美愛は無言でカップを山野に差し出していた。
山野も当然のように自分のスプーンですくい、食べた。
「んっ!!美味し!
あたしも桃にすれば良かったかなぁ」
そういいながら、自分のカップを美愛に差し出して今度は美愛が食べる。
あぁ、女の子だなぁ、なんてほとんどなくなってきた自分のアイスをふと見ながら思った。
***
「祐君は何味?」
美愛がこちらに向いて聞いてきたので、何気なくアイスを美愛に差し出した。
「!えっと…え…味見、させてくれる、の?これは、大丈夫、かな?」
二つ目の疑問は、きっと男女としての行動で大丈夫か、前の話を思い出して聞いたのだろう、さらに近づき俺にしか聞こえないような小声だった。
「ん。俺は今フリーだし、大丈夫だよ。
美愛ちゃんが嫌じゃなければ、だよ。
もちろん」
「そっか…ほんとはダメな気もするの…
でも、私…祐君だから…
嫌じゃない…いただきますっ!」
赤く頬を色づかせ照れながら、スプーンで残り少ないアイスからすくい食べる美愛。
『俺だから嫌じゃない』…美愛…今の俺にとって最高の言葉だ、ありがとう…。