両想い【完】
「ん!さっぱりしていて美味しい!
次はそれにしようかなあ、
レモンだよね、覚えとこ」
「んと、えっとね?私のも、食べてみる…?」
見上げるようにして、様子を伺いながら聞いてくる。
「くれんの?俺チョコがいいな。」
ぱっと顔をあげて、それからダッと店頭に走り、また勢いよく戻り『はいっ!』と新しいスプーンをくれた。
「ありがとう、いただきまぁす」
いいながら美愛のカップに受け取ったスプーンを入れてすくう。
「あぁ~そんなにぃ~?」
くるくるした目で見て、笑いながら言う。
「そっ!当然」
なんて言いながら垂らさないようにパクっと食べた。
「おっ、美味い!!」
ほんのひとサジのやり取りだったが、また距離が縮まった気がする。
俺はそんな感じで美愛と、暁人は隣で山野と、それぞれに楽しく過ごし食べ終わって電車へ向かう。
***
「暁人ってどっちだっけ?」
「俺は下り、笹下駅。」
下りは俺らと同じ方向で、『笹下駅』は俺と山野の『東公園駅』の二つ先だった。
「じゃぁ、おんなじ方向だ、
俺は美愛ちゃんを家まで送る約束だから、
あっ西中央駅なんだけど。
山野は東公園だから、
暁人お前ちゃんと送れよ?」
「!おぅ!了解♪」