両想い【完】
***
携帯を持つ手が微かに震えた。
なかなか、開くことができない。
クラスのざわめきも何にも聞こえないくらいに自分の世界だった。
しばらく目を閉じていたが、意を決してメールを開いた…。
『猪瀬はただの友達、
ドキドキしないんだってさ!!
以上!!
追伸
美愛ちゃんお前を待ってるっぽい』
ガタンっ!!
勢いよく、椅子を倒しながら立ち上がる俺と注目するクラスメイト…。
「あっ、あ~悪りい~!
うるさくして。何でもねえから、
気にすんな!!」
そう叫んで教室を飛び出した、ら、チャイムが…
うわぁ~隣に行かれなかったぁ!!
しかたなく、座り直しながら聡に返信する。
『マジサンキュー
次はすぐ行く。
おれ、頑張る』
『頑張れぇ~( ̄∇ ̄*)ゞ』
速攻で返ってきた…。
この顔文字をみて、本当に応援してもらっているのか…少し疑問に思ったが、気にしないようにした。
***
7時間目の前、急いでS2へ入る。
猪瀬はパッと見、いなかった。
美愛は席替えで窓側に近くなり、教室をかなり入らないといけないが、気にしないで傍に近づいた。
美愛は窓の外を見ながら、頬杖をついてぼんやりとしていた。