Snow Drop Trigger
身体が上手く動かなかった。
頭ではトラックが突っ込んで来る事が分かるのだが、どうにも足が言う事を聞かない。
これは、死ぬのではないだろうか。
涼弥達が真っ青になりながら俺の名前を叫ぶ。
ようやく足が動いた頃には、トラックは目と鼻の先に居た。
……間に合わない。
誰もがそう思っていたがその刹那、俺の目の前で雪の結晶が浮かび上がる。
すると突然、俺に接触し押しつぶそうとしていたトラックが不自然に横へと飛ばされる。
まるで大きな力でトラックを横から押し切ったように。
唖然とその光景を目の前で垣間見た俺を現実に戻したのは、春也君のいつも通りの声音だった。
「……危なかったですね」
本を読みながらそう呟く春也君の左手には、先日ピクトドラムを描き分身を作り上げた油性のマジックペンが握られていた。
感謝の言葉を述べると、春也君は興味がなさ気に歩いていった。
涼弥達が駆けよって来て心配を大いに受けた俺は、チラリと横目でトラックを見た。
そこには春也君が描いたであろう雪の結晶が名残りのように残っていたが、すぐに消えてしまった。
「てかてかぁ、ガーディアンレスキュー呼んだ方が良くないぃ!?」
「そうね、呼んでおきましょう」
涼弥が携帯端末を操作すると、すぐさま二人のの人間がトラックの側に転送されて来た。
そのうちの一人の人物は、柔らかそうな茶色のショートヘアとプリーツスカートを靡かせながら此方へやって来た。
「ガーディアンレスキューの羽生(はぶ)です。
こちらは私達、ガーディアンレスキューが処理しますので安全な場所へ」
「羽生っち、先に行くなよなー。
……あれ、こいつ…………」
「任務中だぞ。
敬語を使え、高橋(たかはし)」
「へいへい、すんません」
咎められているのに全く反省の色がない高橋という人物は、栗色の少しウエーブがかったショートヘアの少しチャラそうな男子生徒であった。
高橋君は、俺をジロジロと訝し気に見てきた。
「あの、何か?」
訝し気に見られるのが少し不愉快だが、どうにもこの人、初対面という感じがしない。
何処かで似たような人を見たような気がしでもない。
「……お前、もしかして」
「高橋ぃ!
さっさと仕事しろ!」
「……へいへい。
あー、気のせいかも。
んじゃ、せいぜい気を付けてなー」
羽生さんに怒鳴られた高橋君は、諦めたように溜め息を吐き、俺達に背を向けた。
「後はガーディアンレスキューに任せて、行こうか」
秋子さんの発言に背中を押されるように
ガーディアンレスキューに背を向け、俺達は何とも言えない雰囲気の中、駅へ向かった。
頭ではトラックが突っ込んで来る事が分かるのだが、どうにも足が言う事を聞かない。
これは、死ぬのではないだろうか。
涼弥達が真っ青になりながら俺の名前を叫ぶ。
ようやく足が動いた頃には、トラックは目と鼻の先に居た。
……間に合わない。
誰もがそう思っていたがその刹那、俺の目の前で雪の結晶が浮かび上がる。
すると突然、俺に接触し押しつぶそうとしていたトラックが不自然に横へと飛ばされる。
まるで大きな力でトラックを横から押し切ったように。
唖然とその光景を目の前で垣間見た俺を現実に戻したのは、春也君のいつも通りの声音だった。
「……危なかったですね」
本を読みながらそう呟く春也君の左手には、先日ピクトドラムを描き分身を作り上げた油性のマジックペンが握られていた。
感謝の言葉を述べると、春也君は興味がなさ気に歩いていった。
涼弥達が駆けよって来て心配を大いに受けた俺は、チラリと横目でトラックを見た。
そこには春也君が描いたであろう雪の結晶が名残りのように残っていたが、すぐに消えてしまった。
「てかてかぁ、ガーディアンレスキュー呼んだ方が良くないぃ!?」
「そうね、呼んでおきましょう」
涼弥が携帯端末を操作すると、すぐさま二人のの人間がトラックの側に転送されて来た。
そのうちの一人の人物は、柔らかそうな茶色のショートヘアとプリーツスカートを靡かせながら此方へやって来た。
「ガーディアンレスキューの羽生(はぶ)です。
こちらは私達、ガーディアンレスキューが処理しますので安全な場所へ」
「羽生っち、先に行くなよなー。
……あれ、こいつ…………」
「任務中だぞ。
敬語を使え、高橋(たかはし)」
「へいへい、すんません」
咎められているのに全く反省の色がない高橋という人物は、栗色の少しウエーブがかったショートヘアの少しチャラそうな男子生徒であった。
高橋君は、俺をジロジロと訝し気に見てきた。
「あの、何か?」
訝し気に見られるのが少し不愉快だが、どうにもこの人、初対面という感じがしない。
何処かで似たような人を見たような気がしでもない。
「……お前、もしかして」
「高橋ぃ!
さっさと仕事しろ!」
「……へいへい。
あー、気のせいかも。
んじゃ、せいぜい気を付けてなー」
羽生さんに怒鳴られた高橋君は、諦めたように溜め息を吐き、俺達に背を向けた。
「後はガーディアンレスキューに任せて、行こうか」
秋子さんの発言に背中を押されるように
ガーディアンレスキューに背を向け、俺達は何とも言えない雰囲気の中、駅へ向かった。