女って…!
夜7時なので、店を閉めます。

シャッターを下ろしていると、

「あの…」

ボクに話しかける声がしました。

振り向くと、ダッフルコートの女の子がピンクの原付を押しています。

「もう閉店ですよね?」

女の子は困った様子でボクの顔を見ました。


――― ドッキーン!

黒くて長い髪の、目が大きい子。

ボクのストライクゾーンです。


「だ、大丈夫だすお?」

『だすお』って!

「ああ、良かった!」

ホッとしてニコッと笑う彼女。

後輪に釘が刺さって、パンクしているようです。

ボクはシャッターを開けて、ササッとタイヤ交換をしました。

「お金がない」と言う彼女に、ボクは「明日でいい」と言いました。

後でヒデさんに、

「来なかったらオマエが払えよ!」と怒られました。
< 53 / 67 >

この作品をシェア

pagetop