コワメンとマドンナ
コワメンとマドンナ
一
父と母は笑顔がとても似合う人である。゛春の日だまりのような笑顔゛とはこのことを指すのかと誰もが考えずにはいられないだろう。
二人の間に産まれた子はそれはそれは笑顔の素敵な子に育つであろうと、親戚一同首をながーくして待っていた。
そんなふうに期待の眼差しを向けられながら産まれたのが俺だった。
首をながーくしていた親戚一同だが、期待外れの子どもの誕生に落胆し、そして今度は首をかしげた。
父と母に笑顔を吸われたのだろう。
そうだそうだ。そうに違いない。
だから笑わないのか。仕方ない。
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