コワメンとマドンナ

「今日はねー、ポイント5倍デーだったのー」

だからいっぱい買っちゃった。テヘっと舌を出して笑うこの人は俺の母親。もうとっくに40を過ぎているが、昔から変わらずこんな感じだった。

帰宅して玄関のドアを開けようとしたら、自転車に乗った母親が丁度買い物から帰ってきた。
買い物袋に食品をパンパンにつめたものを自転車のかごに入れ、もうひとつの買い物袋を肩からさげてヨロヨロと自転車を止めた。

「あっ、やだー!家の鍵この中だー!」
食品に埋もれた鍵を取り出そうと肩の買い物袋の中に手を突っ込む。一番上の卵が落ちそうだ。
フフフッと笑う母さんはとても『あっ、やだー』と思っているように思えない。

そんな母さんを尻目に俺はエナメルバッグの外側についているポケットから鍵を取りだし、それですんなりドアをあける。

おっ、さすがツーくんね。

フフッと笑いながら母さんの肩にかかったやつより一回り大きい買い物袋を俺に差し出す。
受けとるとずっしり重くて、よくこんなものを…と少し感心。
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