コワメンとマドンナ

新学期。新しい教室。一番早くそこにたどり着いたのは俺だった。

席は廊下側の一番前。青山という名字柄、新学期の一番始めの席は決まってそこだった。

通学鞄を机の横に引っかけて、椅子をひいて腰をおろした。
少し窮屈に感じたが、まあそれも毎度の事だと思い出した。

他のクラスにもまだ人はいないみたいで、辺りは恐ろしいほど静まりかえっていた。
一階と二階の一・二年生の教室からは賑やかな声が階段を伝って聞こえてくるのに…。

三年生は皆、まだ掲示板に貼り出された新クラスの名簿に釘付けになっているのだ。
もちろん自分のクラスに関してじっくり見いっていることもあるが、一番の原因は俺だろう。

青山ツヨシは六組にいる。
それがどれだけの人間を落胆させることか。
気分が落ち込みだして机に突っ伏すが、それも毎度の事だ。
< 5 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop