コワメンとマドンナ

人が群がる掲示板を見に行った時、俺の姿を確認した皆がスッと避けてくれたので、申し訳ないと思い自分の名前だけ確認してすぐ教室に来たのだ。

゛渡辺カオル゛
彼女の名前にどれだけの人間が一喜一憂していることだろう。

噂によると、顔だけでなく性格も素晴らしくよく、妬まれることがないため友達も多いとか。

自分と正反対の人間だ。

机に突っ伏しながら朦朧としていると、自分の席の前を誰かが通ったのか空気が少し動いた。少しいい香りがした気がする。

女子か。顔を少しあげると、視界の端にスカートが移った。上半身を起こしてそちらに目をやると、見覚えのある女子の後ろ姿が見える。

彼女だった。先程まで頭に浮かんでいたマドンナの背中と実際に見ている彼女の背中がピタリと一致した。

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