コワメンとマドンナ
彼女は教室を横断し、迷うことなく窓側の一番後ろの席に着席する。
背筋を伸ばしてすっと黒板の方へ顔を向ける彼女。その時初めて彼女の顔を見た。
白い顔に、遠目でもわかる大きな瞳。人形のような長い睫毛が頬に影をおとしている。薄ピンクの小さめな唇の口角は少し上がり、無表情のはずなのに微笑んでみえる。
本物の美少女をみた、と思った。
その時だった。視線に気づいたのか彼女の目が少し横に移動する。顔を後ろに向けていた俺は慌てて机に突っ伏した。
彼女を見ていたことがバレてしまっただろうか。
恐かっただろうな。睨み付けていると思われたに違いない。