学園スパイラル-女医の襲撃-
「この岩について話し合ってたでしょ!?」

「そうなんです。誰がここに運んだのか解らなくて」

 丁寧な匠の言葉に一瞬、その切れ長の瞳を見つめてしまう。

 しかし、頭を振って我に返るとギロリと睨み付けた。

「遊ぶ範囲がなくなるって言ったわね」

「うん。中庭は俺たちのくつろぎ場所だからさ」

「えっ?」

「それに、こんな大きな物体をここに置いておく訳にもいかないでしょう?」

「え、ええそうね……」

 遊ぶ範囲が狭くなるってそういう意味だったの? 志保は毒気を抜かれたように呆然と立ちつくした。
< 13 / 56 >

この作品をシェア

pagetop