A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「・・・ど、どうも・・・」



 彼女はそれだけ言うと五百円硬貨を置いて、足早に店を出た。

(どうも?)


 それだけか。
 あれだけ人の背中に視線を送っておいて、実際に目を合わせることもなく、最後には下を向いたまま“どうも”だけなのか?


「やだ悠くん、今のお客さん、携帯忘れてる」
「俺が行く」


 美樹が言い終わるか終わらないかのうちに、諒は忘れ物の携帯をひったくるようにして受け取ると、店を飛び出した。


「今日のあいつ、なんか変だよな」


 悠の言葉に、美樹が頷く。


「もしかして諒くん彼女に・・・?」
< 170 / 313 >

この作品をシェア

pagetop