A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「何となく。だって何も食べないで帰ったんだよ? ったく、どいつもこいつも、あたしじゃ不満なのかよ」


 彩はぶつぶつ言ってるが、そんなことはないと、美樹は思う。
 彩のファンの女の子だって、たくさんいるのだから。


「はいはい、彩、これ一緒に食べる?」
「なに?」
「手作りクッキー。調理実習で作ったから、わたしに味見してほしいって、女の子が持ってきてくれたの」
「美樹までファンがいるのかよ」
「まぁね♪」


 何故か、がっくりと項垂れる彩。
 勝ち誇ったように笑う美樹は、その時、胸に微かな痛みを感じた。


「・・・痛っ」
「ん? どうかした?」
「・・・ううん、何でもない」


 痛みを感じたのは一瞬だけで、すぐに治まった。
 だから、美樹はあまり気にしなかった。
 そんな美樹を、彩は不思議そうに見つめていた。



☆  ☆  ☆



 次の日も二人で忙しく仕事をこなし、営業時間も終わりに近づいた頃だった。
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