A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「何で・・・何でどうにも出来ないんだよ・・・」
「すまん。美樹ちゃんの意志が強かった」


 苦しそうに、悠が言った。
 あの空間は、間違いなく和也が作り出したもの。
 しかもそれは、美樹が自分の意志で呼び込んだものだった。
 だから、悠にもどうしようもない。


「・・・いなくなったな」


 すっかり暗くなった夜空を見上げて、諒は呟く。
 見ると、さっきまで『free‐time』に群がるように集まっていたアヤカシ達が消えていた。


 リビングに戻っても、誰も口を開かなかった。
 悠が黙ってコーヒーを入れる。
 美樹のお気に入りのマグカップは、所定の位置に置かれたままだった。
 マグカップに視線を送って、彩はため息をつく。


「行ってしまったのね、美樹さん」


 不意に、声が聞こえた。
 振り返ることもなく、彩が言う。


「あぁ、行ったよ。何しに来たんだよ、婆さん」
「空間がね、切り取られているの」


 中川美恵子は、リビングのソファに座りながら言った。
< 238 / 313 >

この作品をシェア

pagetop