A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「この前片付いたんじゃなかったのかよ、諒」


 海の方を見つめながら、彩は言った。


「いや、最後の最後で逃げた」
「ったく・・・あたし、まだ本調子じゃないんだからね」
「期待してねぇよ」
「なんかムカつく」


 ざわざわと、街路樹が揺れる。
 美樹は店の入り口のドア越しに、それを見ていた。
 この感じ・・・彩達と出会った時と同じ。
 そう思った途端、辺りに閃光が走った。


「来たな」


 諒が、少し腰を低くして身構える。


「上等」


 彩も同じく身構えた。


「美樹ちゃん、絶対に店から出ないでね」


 店の外に陣取っている悠は、ドア越しにそう声を掛けてきた。
 美樹が頷いたその時、海の上に何かが浮かんでいるのが見えた。
 それはよく見ると、人間のような形にも見えるが・・・どこか質感がおかしい。
 ボヤけて見えるのではなく、半分透明のような・・・。
 あれが何なのかよく見ようと目を凝らした瞬間、それは丸く赤い光を、物凄い勢いでこちらに向かって投げ付けた。
 あまりの速さに、目を閉じるのも忘れる。
 だがそのせいで、美樹は信じられないものを見た。
< 25 / 313 >

この作品をシェア

pagetop